5年前に通っていたお店に初めて来た客のフリして行ってみたら予想外の結末が!

「今から入れますか?2名なんですけど」

僕自身、ここに再び足を踏み入れるとは思ってもいなかった。

神戸で知るひとぞ知る小料理屋。
スナックとかが入っている、雑居ビルの3階でひっそりと運営している。

休日なら2週間前でも予約が取れないほど人気だったので、飛び込み訪問なら入店できなくても仕方ない。
正直ダメ元だった。
5分前にはこのお店に来ることすら考えていなかったのだから。

目次

そんなことってあんの!?

神戸でデートをしていた日だった。

彼女は3日ほど前に日本に来たばかり。
久しぶりの日本旅行で初日からスケジュールを詰め込んでいて、疲れ気味だった。

僕は一時帰国で10日ほど早く日本に戻っていたので、ゆっくり休めていたのだが。

せっかく神戸に来たのだから、神戸牛でも食べたいな。
美味しい神戸牛の牛丼がリーズナブルな価格で食べられる超人気店があるから連れて行くよ!

ということで、クタクタの彼女を励ましながら北野坂の入り口近くにあるレストランまで行ってみたものの。

売り切れにより、本日の営業は終了しました

夜の営業を待たずに販売終了。
午後5時30分。
シャッターがほぼ閉まった状態のお店の前で、僕は呆然と立ち尽くした。

急な予定変更でふと思い出したのは

本当にいい神戸牛ってかなり高い。
神戸で夜にステーキレストランとか入ると5000円は軽くかかる。
もともと行く予定だったお店は、1食1200円くらいなのでそこまで出せない。

急遽かわりのお店を探すことに。
僕は大学までを神戸で過ごしていたので、お店探しには自信があった。

とはいっても5年前の話。
Googleマップを開いても、良さそうなお店はすぐに見つからない。
そもそも、人気店は土曜の夜だとほぼ予約で埋まっている。

なにより疲れ切ってる彼女を長く歩かせるわけにもいかなかった。

1件入ってみたお店を断られたあと、昔行ったことを辛うじて覚えている居酒屋が空いているか?足を運んでみることに。

隠れ家的な飲食店が立ち並ぶ裏通り。
10〜20メートルほど歩いていると、なにか懐かしい気持ちになった。

たしか、よく通っていたお店が近くにあったような。
僕たちは導かれるように雑居ビルの階段を登っていった。

ダメ元でお店まで行ってみた

僕:「すいません、今から入れますか?2名なんですけど」
店主:「90分くらいならいけますよ」

ダメ元だと思っていたが、奇跡的に席が空いていた。

店主も変わっていなかったが、初めての客にするような丁寧な対応。
5年前、一時期だけ通いつめていた客の顔など、さすがに覚えていないようだった。

当時は会社員だったし。
それに、最後は僕が予約日時を勘違いして結局行けなかったという気まずい縁の切れ方だった。

だから、自分から昔馴染みの客のように振る舞う気持ちにはなれない。
初めてきた客のように、静かに過ごすことにする。

店主:「お客さん、お食事はどうされますか?」
僕:「『ちょっとお腹減ったコース』でお願いします」

何も変わっていない。料理も店主も

はじめに前菜が3種と枝豆。
素材の良さからも、細かい部分まで気が行き届いているのがわかる。

イワシの蒲焼きと海老芋。
イワシ料理がこのお店の看板メニューだ。

イワシの南蛮漬けと締めのおにぎり。

料理が運ばれてくるたびに、1つ1つ丁寧に説明してくれる店主。
他のお客さんにも同じことをやっているのが聞こえていた。

新しい料理が出てくるたびに、僕も静かに礼を返した。

店主からまさかの一言

お店も混んできたので、料理を食べ終わるとすぐにお会計をお願いした。
お金を店主に渡して出る準備をしようと思ったところ、さっと膝まづいた店主の口から信じられない一言が、

店主:「お客さん、初めての人じゃないですよね?」

まさか5年前の客の顔を覚えているなんて。

僕:「えっ、わかりました!?」
店主:「なんかお会いしていた感じがしたんですよ、どこか覚えているもんですね」

・会社を辞めたこと
・今は起業してバンコクにいること
・たまたま偶然お店に立ち寄ったこと
・予約を忘れて顔を出すのが気まずかったこと

などを話した。
店主は予約忘れについては、全然気にしていなかったようだった。
むしろ、

店主:「また神戸に来られたときは、食べにきてくださいね」

と温かい言葉をいただいた。

帰る場所は誰かの記憶の中にある

覚えてもらえていたことが、無性に嬉しかった。
同時に、

「人は誰かの記憶の中で生きている」

ということを悟った。
たとえ息をしていたとしても、誰も自分のことを知らなければ死んでいるのに等しい。
逆に、死者であっても誰かの記憶に生き続けている偉人はたくさんいる。

店主が僕を覚えている限り、お店に僕の居場所はあり続ける。
当たり前のことだけど、自分で体験して少しずつ人の心がわかる大人になっています。

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